山々の葉が色づき始めました。いろいろな木々が実をつけるこの季節,赤や黄色が澄んだ山の空気に色とりどりのアクセントを加えます。
このノブドウもその一つ。
ただこのノブドウ,ほかの植物の実とは違い,一つの個体にいろいろな色の実を付けます。青,赤,紫,白,緑。その中間的な色。まさに七変化といっても言い過ぎではないでしょう。
そして,このノブドウの実,中に虫が寄生することがあり,寄生された実はノブドウミフクレフシという虫えい果とされます。いろいろな見解があるようですが,このように寄生された実は,ほかの実に比べて大きく膨れるようです。
色の違いについては虫の影響なのかどうかは分かりませんが,まあ分からないことは分からないとして,私はこの色の変化を楽しみたいと思います。
そしてまたおもしろいことに,このノブドウ,葉にもいろいろな形があります。深く切れ込んだ葉をもつものは,キレハノブドウと呼ばれ,区別されることがあるようですが,一つの個体の中にもいろいろな形の葉があり,普通のノブドウなのか,キレハノブドウなのか,よく分からないものもあります。
植物の葉には,もともと大きな一枚の葉であったものが,どんどん切れ込んでいった結果,何枚もの葉に分かれたものがあります。いわゆる掌状複葉と言われる葉です。アケビやタカノツメ,トチノキなどがそれにあたります。また,羽状複葉と言われる葉もあります。何故,そうした植物は葉をどんどん切れ込ませていったのでしょう。
植物にとっては葉の面積が大きいほど,たくさんの養分が作れて都合がいいはずです。葉を切れ込ませていけば,面積はどんどん小さくなって,光合成には不利なはずです。
ここからはただの想像ですが,葉が光合成のためにあるとすれば,日光の当たらない部分の葉は,植物にとっていらない部分ということになります。そこで,いらない部分をどんどん落としていったのでしょうか。それに加えて,葉に隙間があることは,風が吹いた時には風圧をまともに受けることなく,やり過ごすこともできます。逆に,隙間がなければ風の影響で葉が根元から飛ばされてしまう恐れがあります。隙間を作ることは,葉にとってそうした意味では有利に働くと言えるでしょう。
まあ,やっぱりよく分からないものは,分からないなりに植物の不思議を楽しみたいと私は思いますが,こうして考えてみることも楽しいことです。誰か詳しい人がいれば教えていただけたらと思います・・・。
さて,このノブドウ,ブドウという美味しそうな名前ですが,栽培用のブドウやヤマブドウとは属が異なり,食べても美味しくありません。しかも,中には虫が寄生していることもあるので,いくら美味しそうに見えても,私には食べる勇気はありません・・・。
食べられなくても,この変化ある色彩の美しさ,グラデーションの神秘は,他に類を見ません。色の変化が虫によるものだとしたら,虫たちに感謝したいと思います。
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