何気なく道を散歩しているときも,いろいろなところを観察してみると何かしら発見があるものです。
歩道沿いの植え込みも,そんな発見があっておもしろい場所の一つです。
植え込みによく使われている樹木としては,刈り込みに強い性質があるのでしょうか,ウバメガシやツツジ,ツバキ,アベリア,シャリンバイなどをよく見かけます。
これは,バラ科シャリンバイの花と実ですね。花は通常5月頃に咲きます。梅のような花を咲かせ,葉の付き方が上から見ると車輪のように放射状に広がっているので,その名がついたようです。この葉の付き方も,葉同士が重なって影にならないようになっているのでしょう。
でも,よく見てみると,その植え込みの中にぽつんと違う種類の樹木が混じっていることがあります。
例えばこんな感じで。
左がシャリンバイ,右がセンダンです。近くにはセンダンの木はないし,考えられることは野鳥がセンダンの実を食べ,お腹に蓄えて,ここまで運んできたのでしょう。おそらくキジバトやヒヨドリ,ムクドリなどではないかと思います。
発芽したときはシャリンバイの茂みの中でしょうから,さぞかし暗く生きにくい状況であったことと思いますが,シャリンバイと同じ高さまでよく頑張って成長したものだと思います。
ほかにもありました。
エノキ
ニワウルシ
これは草本ですが,ノブドウ
アオツヅラフジ
鳥が運んできた命ですね。
さて,植え込みを離れて今度は川沿いを歩くことにしました。
すると,コンクリートで固められた土手の隙間から,やっぱり新しい命が芽を出し,頑張って生きていました。
アキニレ。
これはどうでしょうか。アキニレの種子は翼があり,風で飛ばされて運ばれます。周囲にはアキニレの木は見当たらなかったのですが,きっとどこからか風に乗って少しずつ運ばれてきたのでしょう。
アカメガシワ。小さな実をつけます。これはきっと鳥に運ばれたのでしょう。
ほかにもムクノキ,ナンキンハゼなどの幼木が見つかりました。
そして,私には以前からその存在に驚いているものがあります。
私の住んでいるのは関西のどちらかというと町中なのですが,今回歩いた家の近くの川沿いに,普通は考えられないものがあるのです。
何年も前にその存在には気づいていたのですが,今回久しぶりに見て「よかった。」と思いました。なぜならそれは,近畿では北部の山の標高の高いところ(とは言っても1000m台級ですが)にしか自生しない植物で,きっとそんな環境でしか生きてはいけないのではないかと思っていたからです。
これです。
ヤマブドウ。
200kmほども離れたところに自生するこの植物が,なぜこんなところで育っているのか。
近くで栽培していた人がいて,そこから鳥が運んだのか。それとも遠くの山から運ばれたのか・・・。
謎です。
でもよかった。なんとか頑張ってくれていました。トウカエデと競い合うように,きれいに色づいていました。
これからも元気でいてほしい。
以前見たときは,甘酸っぱい実をつけていましたが,今回実は発見できませんでした。調べてみると1樹では実がならないらしく,雌株と雄株が必要ということで,当時は両方あったのでしょう。
それにしても,考えれば考えるほど自然はおもしろいです。
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