木の名前を覚えることは,そんなに難しく構えることではありません。一つひとつ,特徴を覚えていくだけです。
本当に一つひとつです。
王道はありません。
たとえば人に出会ったとき,その人の顔を覚えるのと同じです。
でも!覚えるためには,努力が必要です。ただ眺めているだけでは覚えられるものではありません。
私が最初に覚えた木はミカンの木でした。
(正確に言えば,イチョウやイロハモミジなど,葉の形に明らかな特徴のある木は知っていましたが。)
それまでの私にとって,木は「ただの木」であり,それが何の木であるかなど考えたこともなかったのですが,たまたま蝶のアゲハを育てることになり,どうしてもミカンの木を探さなければならなくなって,初めて覚えたのがミカンの木だったのです。
しかし,その当時の私にとってミカンの木を識別するなどということは,至難の技でした。
なぜなら,どの木を見ても、幹があり,枝に葉がついているだけのただの木であり,その違いをどこで見分けたらよいのか皆目見当もつかなかったからです。
木はただの木。草はただの草。
しかし,そこから一歩を踏み出さなければ,解決などありえません。
ミカンの木を見分けるには、いったいどうすればよいのか。
実がなっているなら一目瞭然ですが,そうでないならば,まったく分かりません。
近所にミカンの木が植わっているところを探して観察しようとしましたが,あまり人様の家の庭木をしげしげと眺められるものではありません。
「よし,『ミカンの聖地』?和歌山県に行ってみよう。」
ということで,高速道路を走らせること1時間。
さすが聖地です。
遠目にも黄色い果実が点々と確認でき,そこら一帯は斜面いっぱいに広がるみかん畑。
高速を下りて,少し脇道を走らせながら散策すると,すぐにたくさんのみかん畑が眼の前に現れました。
さあて,それではじっくり観察。
???ほう…
なるほど,ミカンの木ってこれですか・・・。
???
近づいてじっくり観察しましたが,それでもほかの木とどこが違うのかというと,よく分かりません。
当たり前ですが,幹や枝,葉があるのは他の木と同じ。では,どこで見分ければよいのでしょう。
葉の形も,よくある形。
「ミカンの木を絶対に見分けられる百発百中の方法があるのだろうか。」
そこで,いろいろな木を見ては,またミカンの木と比べます。それでもまだ特徴がつかめません。
ツバキが咲いていたので,その葉とミカンの葉と見比べたところで,同じようにしか見えません。
ところが,いろいろな木を見ていくうちにしぜんと「目のセンサー」はできていくものなのです。
不思議なことに,何度も同じミカンの木を見ているうちに,少しずつミカンの葉の特徴が見え始めてきたのです。
日本語しか話せない人が英語を学ぶときにも,ある瞬間から目の前が開けたように,ふっと聞き取れる瞬間が訪れると言われますが,まさにそんな感じでした。
ミカンの木の葉には,ある特徴があることに気づいた…,というか「見えた」のです。ツバキほども分厚くなく,緑が濃いわけでもない,「ミカンの葉」の質感がすっと自分の中に入ってきたのです。
これこそが,「見分ける」というものだと実感した瞬間でした。
葉柄に『翼(よく)』と呼ばれる葉っぱの赤ちゃんのようなものが,ミカンの葉には必ずあることに気づいたのもそのときでした。
今となっては,遠目からでも「あっ,ミカンの木だ。」と判別できますし,車を走らせて何気なく見る風景の片隅にでも,ふと目をやれば,それがミカンの木であることが分かるようになりました。
さて,木の名前を覚えたいという方がいらっしゃれば,私は一つだけ,進言できることがあります。
木の名前を覚えようと思うなら,簡単で最良の方法,それはあきらめず「繰り返し木を見続ける」ことです。
特に「葉」をよく観察してください。
以前示したデジカメ撮影の方法も取り入れながら,まずはフィールドへ出向き,いろいろな木を見てください。
そのうちに,目のセンサーは必ず作られます。
そして,「これがミカンの木だ」と確信する瞬間が訪れるのです。
皆さん,いろいろな木を眺めては,目のセンサーを働かせ,木と友達になりましょう(*^^*)
(関連ページ)
(このページには,木の名前を覚えるためのYouTube動画へのリンクがあります。合わせて見ていただけると、実際に覚えていただけると思います。)
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