野生の食べられるキノコを見つけるのに必要なのは,「やる気」と「根気」です( ◠‿◠ )
「図鑑等を見て,このキノコを探したい。」と思ったとき,どうすれば見つけられるのかについて考えます。
食べられるキノコにはいろいろありますが,今回は冬のキノコの代表格「エノキタケ」を例に,目当てのキノコを見つけるための手立てについて,私の経験をもとに書いていきたいと思います。
ただし,実際に食べるかどうかについては,こちらの記事も参考にしてくださいね。「野生のキノコを食べるとき」
1.まず,見つけたいキノコ(エノキタケ)の姿を知る。
当たり前ですが,キノコにはそれぞれの特徴があります。まずは,その特徴をつかむことです。では,どうすれば特徴をつかめるのでしょうか。
①実物を見る。
これに勝る方法はありません(^。^)
でも,実は野生のキノコの実物を見ることは,本当はなかなか難しいのです。
スーパーなどで売られているキノコは,栽培されたキノコです。中には,同じキノコでありながら,野生のキノコとは似ても似つかない姿形をしているものがあります。
その一つがエノキタケです。
山に出かけていくらエノキタケを探しても,あの白くひょろりとして束になっているキノコにはお目にかかることはありません。
もやしと同じように日光に当てることなく育てられたエノキタケは,もはや自然の姿形を失っているのです。
つまり,野生のエノキタケは,キノコを自分で探す以外には普通見ることができないのです。
これが,野生のエノキタケです。
ということは,実物を見るためには自分で採るしかないのですが,これでは話が矛盾しています(^_^)
ほかにも,シメジとして売られているものはブナシメジであったり,ヒラタケであったりするのですが,俗に「匂いマツタケ,味シメジ」と言われるシメジは,ホンシメジを指すので,全くの別物です(^。^)
ただ,マツタケやシイタケ,マイタケは自然の姿とほぼ同じなので,山で見かけたらすぐにわかります。。。
というように,私たちの周りで見られるキノコは,一概に山の中で見られる姿と同じとは言えないので注意が必要です(^。^)
そして,これがキノコ採りの最大の魅力と言えるのかもしれませんが,キノコ採りの対象となるきのこの多くは,スーパーには売られていません。そうしたキノコを見ようと思えば,山のキノコ屋さんの露店に行くと良いです。
秋になり,採れるキノコの種類が増えてくると,きのこが豊富に採れる地方の車道沿いには露天が並び始め,キノコ採り名人がその日採ったキノコをずらりと並べて販売します。
そこでは,普段市場には出回らないようなキノコも売られていて,実物のキノコを見る絶好の機会です。
きのこ屋さんのおじさんに,キノコの味や食べ方などを聞くと親切に教えてくれる場合がありますし,ついでにいろいろな情報が聞けることもあります。
じっくりといろいろな種類の実物のキノコを観察したあとは,これと思うものを購入して,家でも観察し,食べてみましょう\(^o^)/
②図鑑で確認する。
図鑑は,専門の方々が心血を注いで作成されたものであり,まず間違いはありません。また,いろいろな角度からその特徴が余すところなく説明されていて,非常に親切でわかりやすいものが多いです。写真も鮮明で,キノコを学ぶには欠かせません。
私はキノコの図鑑を5冊持っています。実際に自分の目で見ていないキノコを同定しようというのですから,やはりいろいろな写真をいろいろな角度から見なければ,そのキノコの形状や質感は自分の中に入ってきません。そのためにも,より多くの図鑑を見てそのキノコの実際の「見え方」を頭に入れることが大切です。
色や形,大きさはさることながら,傘の形状や傘の裏の様子,柄の部分の模様など,細かいところをよく見て,特徴を覚えます。
エノキタケならば,柄の部分に焦げ茶色のビロードのような毛が生えていることがその特徴になります。
③ネットで情報を得る。
最近はいろいろな情報がネットからすぐに手に入るようになりました。ただ,気をつけたいのは,写真検索でキノコの写真を検索したとき,すべての情報が正しいとは言えないときがあることです。
怖いのは,よく似たキノコで毒のあるキノコが検索にヒットすることがあることです。信頼できるサイトなのかどうかは,自分の目で見てしっかり確かめることが大切ですし,少なくとも似たキノコで毒のあるとされているものについてまず知った上で,ネットの情報を整理しながら知識を増やすことが大切であると思います。
2.写真以外の情報を集める。
写真を眺めているだけではわからない情報はたくさんあります。そうした情報を得ることは,キノコを見つける有力な手立てとなります。
(発生時期)
発生時期については,図鑑によって若干の違いがあります。これは,桜前線が南から北へ上がるのと同じで,その地方によって気候の移り変わりが異なるためです。多少の誤差はつきものなので,だいたいの時期を知っていれば良いと思います。
特にキノコの場合は,年によって豊作であったり,不作であったりとその年の気候による差が激しい生き物です。雨の量によってもかなり左右されるので,同じ時期に毎年発生するとは限りません。
「そろそろかな。」などと考えながら山に入る…これもキノコ採りの一つの魅力なのかもしれません。
エノキタケは冬に生えるキノコです。夏場いくら探しても見つかることはありません。秋が過ぎ,雪が舞う時期になり,「そろそろかな。」と探しに行くキノコなのです。
(発生場所)
キノコは「木の子」。木と仲良しです。木から直接生えるキノコもあれば,木の根と共生するものもあります。かと思えば,全く関係ない土の上から生えるものもあり,発生場所は様々です。
でも,木から生えるキノコは,生える木の種類もある程度決まっています。
エノキタケは,エノキやコナラ,ヤナギ,カキなどの広葉樹の枯れ木や切り株から発生します。探す場所は,おのずとそうした場所を歩きながら見て回ることになります。地面を見る必要はありません。
こうして発生場所をある程度しぼれば,見つかる可能性は高くなります。
(その他の情報)
実際にキノコを手に取ってみないとわからない情報もあります。
例えば,雨が降ってぬれている時には,触るとねばねばした感触があるとか,柄の中は空洞になっているとか,中には少しかじってみると苦味があるといった具合です。
エノキタケも雨にぬれると傘に少し粘り気が感じられます。
3.振り返り
キノコの見た目は,写真を写した時の光の当たり方一つで色合いも異なってきます。
いろいろな図鑑を照らし合わせてキノコの姿の「幅」を知ることが大事です。昔の言葉で言えばファジー,つまり曖昧さの幅を知ると言うことです。
また,その曖昧さをさらに広げているのが,発生からの時間の経過です。
発生間もないキノコと数日経ったキノコでは,同じ種類であったとしても似ても似つかないほどの違いがあります。
多くの図鑑では,最盛期のキノコの様子が撮影されていますが,いざ実際にそのキノコを探したときには若すぎたり,老齢すぎたりということの方が多いです。でも実は,この見た目の違いは,たった一度でもそのキノコに会うと,不思議なことにある程度解消されます。
同じ種類であれば,多少若くても年を取っていてもそのキノコだとわかるようになります。
これは,数年来の友人にばったりと出会っても,すぐにその人だとわかるようなものです。やはり実際にキノコを自分の目で見るということがいかに大切なのかわかります。
さあ,「やる気」と「根気」(笑) で調べましょう(*^_^*)
そして,新たなキノコとの出会いを求めて,山に出かけましょう(^。^)
(猛毒キノコの方が好きだよ~っという方は,こちらの記事をどうぞ(^^♪「美しいカエンタケby兵庫きのこ研究会」)
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